■各エリアの特長や魅力は?

■ プロフィール
ハングフライヤー

■ ホームエリア・スクール
紀の川フライトパーク(和歌山県龍門山)
霊石山フライトエリア(鳥取県霊石山)
ナグエアーハンググライダースクール

霊石山の特長は、テイクオフ(TO)〜ランディング(LD)の高度差が約300mあるのに対して、直線距離が約1300mしかなく、シングル機(注1)でも余裕をもって届く点です。またTOからLDが目視でき、LDがとても広いので初飛び(注2)でも安心して飛ぶことができます。実際に、僕たちナグエアーやオーク(注3)の生徒はここで初飛びをします。

そして霊石山の魅力は2つあります。
1つ目は、リッジソアリング(注4)が比較的簡単にできることです。霊石山は北成分が入っていれば基本的にどの風向きでもリッジがかかる斜面が広く、リッジソアリングの練習に最適です。僕の初ソアリングも霊石山のリッジでした!
2つ目は、霊石山の立地の良さです。鳥取砂丘から霊石TOまで車でたったの40分で移動できるので、午前は砂
丘講習(注5)をして、午後は山飛びをすることができます。鳥取砂丘は日本で最もハンググライダーの練習に適していると言われており、学生連盟主催の砂丘合宿(注6)もここで行われます。

龍門山の特長は、TO〜LDの高度差が約570mあり、上手な人であれば平均1000m・1時間超のフライトができることです。もちろんサーマルソアリング(注7)をほとんどやった事のない初心者でも条件がいい日であれば、1000mまで上昇できるチャンスがあります。
龍門山の魅力も同じく2つあります。

1つ目は、サーマルソアリングができる可能性が高いことです。龍門山は霊石山と比べてTO高度が高く、山に沿って流れてきたサーマルがある程度まとまった状態になるので、より強く、たくさんのサーマルが存在しています。
2つ目は、社会人フライヤーの人との交流ができることです。龍門山は関西でも特に条件のいいエリアなので、上手な社会人の人がよく飛びに来ています。そこでエリアやハング全般に関する色々な知識やアドバイスをもらえたり、先に飛んでサーマルの位置を教えてもらえたりします。
まとめると、霊石山はリッジと砂丘でのTO・LD練習、龍門山はサーマルの練習に適しています!

 

■ハンググライダーを始めたきっかけは?
僕はもともと"ハンググライダー"というスポーツを知らなかったのですが、大学の休み時間に「うちの大学、旅行サークルとか、ダイビングサークルとか、ハンググライダーサークルとかあるらしい。珍しいよね」って話しているのが聞こえてきて、自分から体験に申し込んで行
ったのが最初です。昔から『一日中雲や星空を眺めていたい』と思うくらいに自然が好きだったのはありますが、漠然と『高校の部活とかではできないような、普通じゃない面白いことをしてみたい』と思っていたので、"ハンググライダー"という単語を耳にして「!?!?」となりすぐにインスタで調べてDMを送りました。なので、ハングを始めた1番最初のきっかけはインスタを見たとかビラをもらったとかではなく"小耳に挟んだ"ことです。(笑)
そこから『このサークルに入ろう』って決めたのは、GWに行ったサークルの1泊2日の新歓合宿の時です。急遽おばあちゃんの家に行く予定をキャンセルして合宿に参加しましたが、大正解でした!これまでキャンプやお泊まり会的なことをあんまりしたことがなかったのもありますが、1番は前の週に行った体験会も含めて、社会人の先輩がみんな笑顔で優しくていい人ばかりで、心の余裕があるというかなんというか、とにかく『こんな風に大人になっても楽しく続けられるって最高だな!』って思ったからです。それにしても新歓合宿めっちゃ楽しかったなぁ…

 

■ハンググライダーの魅力は?
それはもちろん空を飛べることです!空を飛ぶ方法は他にもありますが、自然の力だけを使って自分の好きなところを自由に飛びまわることができるのはやっぱりハングの1番の魅力だと思います。まだまだ今のレベルだとそんなことは言っていられないし、僕はリッジライダーズなんですが、やっぱりリッジよりもサーマルの方が好きですね。そりゃぶっ飛び(注8)するくらいならリッジでずっと浮いていたいですが、やっぱり自分の実力で上げている感や、より高いところに行ける高揚感、1番は山から離れて自由に飛び回れる鳥感があるからサーマルはたまりません!
今はまだ技術が圧倒的に足りないので"大空を自由自在に飛びまわる"ということはできていませんが、N井さんにサポートしてもらって1度だけ、井坂橋というTOからもLDからも離れたところに連れていってもらったことがあります。とりあえず今の所はあのフライトが1番楽しかったです!あの日は、実家を出てひとり暮らしを始めるような、鉄格子を抜け出す鳥のような、期待感と不安感が混ざったような感覚で、ハンググライダーの真の魅力をほんの少しだけ実感できた日だったと思います。

 

■ハンググライダーの飛ぶこと以外の魅力は?
たくさんあり過ぎて言い出すとキリがないので、僕が特に魅力だと思うことトップ3を書きます。
第1位は"一生の友達ができる"ことです。
ハンググライダーはいつでもどこでもできるスポーツではなく、特に初飛びをするまでの間はごく限られた場所でしか練習できません。うちのサークルでは、5月中旬〜11月上旬の間は天気が良ければ毎週末鳥取に行ってい
るのですが、鳥取までは車で片道4時間かかるので、金曜の夜に出発で2泊2日して帰ってきます。もちろん天気の悪い週や予定があって会えない週もありますが、基本的に毎週末を仲間と共に過ごします。その中で、長距離を車で移動したり、何時間も砂丘で走ったり、温泉に行ったり、みんなでご飯を作ったり、夜はボードゲームをしたり、あとから思い出せないようなくだらない話で笑い合ったり、座布団と寝袋を布団に雑魚寝したり、それはもう言葉には表せないくらい最高に楽しい合宿です!言い換えると、毎週修学旅行に行っているようなもんです。僕はそんなバカばっかの、あっけないくらい早いあの時間が大好きです!それに加えて山から飛べるようになれば、ツアーや大会などの遠征で1週間以上一緒にいることもあります。さらに、その中でも特に気のおけない仲間は"一生の友達"というよりも"一生の親友"や"血の繋がっていないきょうだい"のようなかけがえのない存在だと感じています。

第2位は"ハング界の居心地の良さ"です。
これはサークルに入った大きな理由でもあるのですが、学生時代にハングを始めた先輩たちが社会人になっても続けていることです。体験に行くまでは、学生や若い人しかやっていないスポーツだと思っていたのに、Tのやんや他の社会人フライヤーが飛んでいる姿を見てハンググライダーは生涯スポーツだと知りました。しかもただ
続けているだけじゃなく、みんな活き活きしててすごく楽しそうなんですよね。実際にどうなるかは分からないけど『自分もあんな風にいくつになっても年齢を感じさせないような愉快な大人になりたいなぁ』って思ったし、今もずっと思ってます!あとは、EJC(注9)(注9)の時に改めて思いましたが、ハングをやってる人はマジでいい人しかいないことです。周り全員年上で同い年もいないという超アウェイな状況の中、関東の社会人の先輩たちがNぐさんの生徒かどうかに関係なく、はるばる関東まで来た1人の人間として暖かく迎えてくれたおかげでほとんど気まずさを感じずに済みました。とにかく、空気感がすごく自分に合っていて『一緒にいるだけで肩の力が抜けて自然体でいられる』ところがすごくいいと思います。

第3位は"全国に友達ができる"ことです。
まずは近いところから書くと、ナグエアーとオークは合同で同じ練習をしている訳ではないけれど、砂丘の同じコースを使って交互に練習していることがよくあります。僕も最初の頃は若干の距離を感じていましたが、学
連の砂丘合宿以降はサークルの友達と同じように接せるようになりました。 今では宿に呼んで夜ご飯を食べたりもするくらい仲良くなりました!また遠いところでも、大会やツアーではもちろん日帰りはせず現地で宿泊することになります。そこで普段は関わりのない学生と交流する機会があり、同じスポーツをやっているもの同士すぐに仲良くなれます。それに、1度仲良くなると遠く離れた場所にいようとも心のどこかで勝手に競い合って、ライバルみたいな存在として残ります。なんとなく『今度会う時までにもっと上手くなってやるぞ!』って気持ちが湧いてくるんですよね。さすがにいつも会ってる友達と同じくらいめちゃくちゃ仲良くなれるって訳じゃないけど、会えばいっぱい話して楽しくて、会えない間もいい意味でお互いに刺激を与え合えるいい関係だと思います。

 

■これからの目標は
やっぱり1本のフライトでなるべく長い時間飛びたいので、サーマルセンタリング(注10)(注10)を上手くできるようになりたいです。『サーマルソアリングはなんとなく形になってきたかな』と思っていても、回しているうちに気づいたらサーマルが消えていることがよくあるので、最低でも消える前に上げきれるくらいの技術は身につけたいです。『サーマルソアリングはなんとなく形に
なってきたかな』と思っていても、回しているうちに気づいたらサーマルが消えていることがよくあるので、最低でも消える前に上げきれるくらいの技術は身につけたいです。それに、シングル機は風が強いと前に進めないので、他の人は飛んでいるのにTOできないというかなり悔しい思いを何度かしたことがあります。向かい風が強くても飛べるようになるには、やっぱりダブル機(注11)に乗り換える必要があるので、早く乗り換えるためにも早く上手くなりたいです。
あとは、いつかXCレース(注13)形式の大会に参加したり、飛んだことの無いエリアを飛んだり、クロカン(注13)をしたりしたいです。これはEJCに運転手として行って、U路さんに「正直なところ飛ぶこと自体が楽しいので、大会に対するモチベーションがそこまでないんですよね。」って相談した時にもらった「別に大会に出ることだけがハングじゃないんだから、無理して出なくてもいいんだよ。ただ、せっかく飛べるようになったんなら色んなことを経験としてやってみて、楽しいと思えることを自分のペースでやればいい。」って言葉を受けて、かなり長期のスパンの目標になりました。まぁもちろん"経験として"と言いつつも、初大会で散々な結果だったのもあって、せっかく大会に出るならやっぱ誰にも負けたくないのでこれからも向上心を持って飛ぼうと思います。いっぱい書きましたが、要するにより楽しく、そして安全に飛べるようになるにはもっともっと上手になるしかないってことですね!

 

■これからハングを始めようと思っている人へ
ここまでずっとハンググライダーのメリットばかりを書いてきましたが、当然デメリットもあります。ハンググライダーサークルに入るデメリットをいくつか例にあげると、まず@お金がめちゃめちゃかかるし、特に初飛びまでは基本的に毎週末講習に参加が必要となるので、A地元や高校の友達と会う頻度が減ったり、Bバイトに入れずお金が稼げなかったりすると思います。それに、車での移動距離も時間も普通じゃないので最大限気をつけていてもC事故に遭うリスクがゼロとはいえません。また、ハンググライダーというスポーツ自体、他のスポーツと比べるとD怪我をすれば軽症では済まない可能性が高いです。
それでも僕は、ハングを始めてよかったと思っています。他のサークルの体験には行ったことがないので知りませんが、【毎週末当たり前のように、車で長距離移動をしたり、温泉に行ったり、ご飯を作ったり、雑魚寝したり、そして空を飛んだりする】そんな経験なかなか味わえないと思います。もちろんハングを始める上で、誰もが今まで大切にしていた何かしらを犠牲にする必要があるし、その決断にはとても勇気がいると思います。でも、別にハングを始めたからと言って、他のすべてを手放す必要はないんです。僕もハングは楽しくて大好きですが、好きなアーティストのライブがあれば全然平気でサークルを休みます。それに、上ではデメリットとして書きましたが、僕にとっては毎週末の講習も『参加しなくちゃ…』っていうマイナスな感情じゃなくて『楽しいからもちろん行く!』っていうプラスの感情で参加していたのでとても楽しかったです。なぜなら僕がハングを続けているのは空を飛べるのはもちろんありますが、それよりもハングで出会った人たちと一緒にいると心からリラックスできて、『この時間がずっと続いて欲しい』『ハング界はこの先もずっと残り続けて欲しい』って思えるからです。でももしハングを始めてみたけど、このままハングを続けるかどうか迷った時は【ハングを続けるメリットとデメリットを天秤にかけてどっちが大きいか?】を考えるといいと思います。僕の場合はメリットが勝ったのでハングを続けました。若干の勢いがあったのは否めないですが、あの時ハングを続けるという選択をしたことは一切後悔していません。稚拙で長ったらしい文章になりましたが、もしこの文章を読んでくれた人が少しでもハングを始めたい、続けたいと思ってくれたなら嬉しいです。そしてこの記事で1人でもフライヤー仲間が増えるのであれば、それはとても幸せなことです。もし機会があればどこかの空でお会いしましょう。

 


(注1)シングル幾:翼のフレーム上部のみをセールで覆ったハンググライダー初級機、滑空比は約1:6
(注2)初飛び:初めてひとりで山から飛ぶこと
(注3)オーク:OAKハンググライダースクール
(注4)リッジソアリング:風が山や丘に当たって上昇する気流を利用して、高度を獲得する方法
(注5)砂丘講習:初心者が砂丘でハンググライダーの基本操作を学ぶ講習、初飛び後もTO・LDの精度を上げるために使うことがある
(注6)砂丘合宿:全国から初飛びをしていない学生と、その先輩たちが集まり短期間に集中的に砂丘講習をするイベント、初飛び前の講習生が遠方の講習生と交流できるほぼ唯一の機会
(注7)サーマルソアリング:太陽の熱で上昇する気流(サーマル)を利用して、高度を獲得する方法
(注8)ぶっ飛び:テイクオフから離陸して一度も高度を上げることができずにそのまま、ランディングしてしまうこと
(注9)EJC:East Japan Championship(イースト・ジャパン・チャンピオンシップ)の略称、足尾山で行われるハンググライダーの大会名
(注10)サーマルセンタリング:サーマルの中心(コア)を見つけてそれに乗り効率よく上昇し続ける技術
(注11)ダブル機:翼のフレーム上部とともに下部にもセールを覆ったハンググライダー中級機、滑空比は約1:8、シングル機と比べて、向かい風に対してもある程度前に進む性能を持っている
(注12)XCレース:クロスカントリーレース、決められた地点上空を順番に回ってタイムを競うレース形式の競技
(注13)クロカン:クロスカントリーフライト、上昇気流を乗り継ぎながら、飛び立ったエリアから出て長距離飛行をしてエリアの着陸場に戻ってくる、或いは、目指した場所まで長距離を飛行すること

(2025年11月)

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