審査員 |
総評 |
嘉納愛夏
Photographer |
早いものでJHFフォトコンテストも3回となりました。応募数が減少しているのは寂しい限り。みなさん写真を撮っているはずなのに、応募しないなんてもったいない!
被写体が持つ力、構成のバランス、画面の美しさ、の内一つでも秀でていて、加えて意外性、驚き、偶然性、があればかなりの確率で入賞します。ただ撮っただけ、下の風景を撮っただけ、みたいな作品が多く、工夫が少ないのはとても残念です。そういう意味では最優秀賞の「眩い空」は、地面から撮っただけではありますが、発想の転換で「工夫」のコスパが高かった。
全般に言えるのはタイトルの付け方が素直すぎること。パラ賞「透き通る翼」は審査員全員から「青虫」だろ、とツッコミが入りました。タイトルにもユーモアが欲しいです。
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山本直洋
Aerial Photograher
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第3回フォトコンテストは今まで受賞経験がある方の新しい作品が多く集まりました。
全体の応募数は前回よりも少なくなりましたが、その分以前とは違う新しいアングルから撮ろうと挑戦している作品が増えたように感じます。
同時に、GoProなど動画カメラで撮影された映像から書き出された作品も増えました。映像の中からベストな瞬間、アングルを選んで写真にできるこの手法は、カメラが小型化し、性能が上がったことで可能となり、新しい表現方法としては大きな可能性を秘めていると思います。
ただ、通常のハイビジョン映像では、書き出して写真作品としてプリントするにはまだクオリティが十分ではありません。
動画カメラでしっかりとした写真作品を作るには、4Kで撮る、最初から写真撮影モードで撮る等、最終的に写真にする事を前提とした設定と撮影方法が必要となるでしょう。
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内田孝也
JHF会長
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回を重ねて、プロの写真家と評価選定を繰り返し、感じることがあります。それは、目の前の一コマを残したいと切り取った画面と、作品として構想し、ねらった絵の違いです。私の父も新聞の写真屋で、フィルムに写しこむ芸術性を教えられました。デジタルの時代で、いろいろな事ができると思いますが、プロの目から見た時、やはり画質・発色・コントラストなどの基本要素は採点に影響します。良い写真が撮れた!と、意外性や決定的瞬間を自慢にした作品もあったと思いますが、審査員の目の前に置かれた大判写真の総合力で賞が決まりました。賞を逃した中にも唸るような作品があり、応募作はメディアから引き合いがあるたびに紹介されています。
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