JAPAN HANG&PARAGLIDING FEDERATION
フライヤーサポートデスク・連盟からのお知らせ

ハンググライダー、パラグライダーの楽しさ、美しさをテーマにした、第3回JHFハンググライダー・パラグライダーフォトコンテストに多数のご応募をいただきありがとうございました。審査員による厳正な審査の結果、最優秀賞、優秀賞、地上撮影部門パラグライダー賞と入選作品が決定、ここに発表させていただきます。最優秀賞は第1回、第2回に受賞された加藤文博さんが獲得されました。

最優秀賞 空撮優秀賞 地上撮影パラ賞 地上撮影入選 審査員総評

最優秀賞 「眩い空」 加藤文博  (兵庫県丹波市)

受賞作品 審査員評
最優秀賞(共通)
「眩い空」
加藤文博
 ・ これまでにありそうでなかったアングルからの撮影です。天気のいい日、昼寝をしようと野っぱらに寝転がった「私」が、ふと視界を横切るパラグライダー。そんなストーリーが思い浮かぶような、物語性も素敵な一枚です。ピントを手前の草花に合わせたのも写真を印象的にしています。生き生きとした生命を感じさせる作品です。 [嘉納]
 ・ 第一回から上位入選されている加藤さんの作品です。他にもいくつか応募いただきましたが、どれも安心して見られるクオリティの高さはさすがです。この作品はカメラを地面に置いて撮影したのでしょうか?普通に寝転んだだけでは撮れないようなアングルに新鮮さを感じました。とても爽やかな気分にさせてくれる一枚です。 [山本] 

空撮部門優秀賞 「珊瑚礁の上で…」 三澤洋子  (沖縄県南城市知念岬)
空撮部門優秀賞 「蔵王の頂へ」 鳥羽岳太  (山形県上山市蔵王連峰)

受賞作品 審査員評
空撮部門優秀賞
「珊瑚礁の上で…」
三澤洋子
 ・ 飛んだ場所の勝利です。これがただの海の上だったら入っていないのですが、珊瑚礁の美しいグラデーションが勝ちました。また、珊瑚礁の上に撮影者と被写体の影が落ちており、ほぼ真昼に飛んでいるのだとわかります。撮影者の存在が何気に感じられるのがいいですね。ただ一つだけ惜しかったのは、写真の画素数がとても低いこと。 [嘉納]
 ・ とにかく撮影地が良いですね。撮影者自身の影が写りこんでいることで、ちょっとしたアクセントになっています。色鮮やかな海のおかげでぱっと見は良いのですが、よく見ると画質のクオリティが低いのが残念です。自分もこんな場所を飛んでみたいと思わせてくれる一枚です。 [山本]
空撮部門優秀賞
「蔵王の頂へ」
鳥羽岳太
 ・ 一瞬何かわからない画面が目をひきました。また、応募の少ないハングライダーであり、それだけでも「おっ」と思わせます。冠雪してなくても死ぬほど寒い蔵王のお釜、その上空を飛んでいるというだけで、厳しい寒さと極寒の風を想像して震えます。撮影ポイント、天候、タイミングが合った、なかなか撮れない写真だと思いました。 [嘉納]
 ・ 気合いの入った一枚です。冬の蔵王は想像以上に寒く過酷な環境で、ハンググライダーの技術も高くないと行く事さえできない場所です。動画カメラでの撮影と思われますが、プリントを含めそれをあまり感じさせない仕上がりになっています。もしこれが一眼レフでもっとワイドに撮影されていたら、さらに上位を狙えた作品だと思います。 [山本]

地上撮影部門パラグライダー賞 「光と戯れる」 竹田和美  (北海道虻田郡留寿都村)
地上撮影部門パラグライダー賞 「透き通る翼」 北川隆司  (岡山県玉野市王子が岳フライトエリア)

受賞作品 審査員評
地上撮影部門
パラグライダー賞
「光と戯れる」
竹田和美
 ・ 一目見て気に入りました。撮ろうと思って撮れる写真ではないことと、精緻な油彩画のような色彩に高い芸術性を感じました。光の入り方がレンブラントのようです。中世の森のような雰囲気があり、ヨーロッパ風の城を描き足したくなります。パラグライダーの色が赤だったこともよかったです。これが緑や青だったら今ひとつでした。 [嘉納]
 ・ 幻想的な雰囲気の一枚です。厚い雲の間から光が差し込み、普通の風景写真としても成り立つ光景の中にパラグライダーが飛んでいます。パラグライダーの写真でこのような芸術性を出すのはなかなか難しいのですが、それがうまくできている作品だと思います。 [山本]
地上撮影部門
パラグライダー賞
「透き通る翼」
北川隆二
 ・ 見事な左右対象に思わず笑ってしまいました。逆光のため、人物と手前は暗く落ち、反面、風をはらんだパラが光をも内包して宙に浮かんでいる様が美しいです。遠くに見える島々も「旅情」を感じていいですね。タイトルが平凡で、その分損をしているような気がしますが、ザッと並べた時に目立つ作品であることは間違いありません。 [嘉納]
 ・ 立ち上げの瞬間のパラグライダーキャノピーがまるで生き物のように写されています。さっきまで小さく折り畳まれていたキャノピーは、インテークから空気を取り込むことによって命を吹き込まれ、翼となりパイロットを大空へと飛び立たせてくれます。光り輝くパイロットが生きる翼を操る術者のようにも見えておもしろい作品です。 [山本]

地上撮影部門入選 「また翔ぶで!」 加藤文博  (兵庫県丹波市青垣町)
地上撮影部門入選 「夏雲」 吉田真弓  (沖縄県石垣市明石ビーチ)
入選 「砂丘に咲く」 牧原昭文  (鳥取県鳥取砂丘)

審査員 総評
嘉納愛夏

Photographer
 早いものでJHFフォトコンテストも3回となりました。応募数が減少しているのは寂しい限り。みなさん写真を撮っているはずなのに、応募しないなんてもったいない!  被写体が持つ力、構成のバランス、画面の美しさ、の内一つでも秀でていて、加えて意外性、驚き、偶然性、があればかなりの確率で入賞します。ただ撮っただけ、下の風景を撮っただけ、みたいな作品が多く、工夫が少ないのはとても残念です。そういう意味では最優秀賞の「眩い空」は、地面から撮っただけではありますが、発想の転換で「工夫」のコスパが高かった。  全般に言えるのはタイトルの付け方が素直すぎること。パラ賞「透き通る翼」は審査員全員から「青虫」だろ、とツッコミが入りました。タイトルにもユーモアが欲しいです。
山本直洋

Aerial Photograher

 第3回フォトコンテストは今まで受賞経験がある方の新しい作品が多く集まりました。 全体の応募数は前回よりも少なくなりましたが、その分以前とは違う新しいアングルから撮ろうと挑戦している作品が増えたように感じます。 同時に、GoProなど動画カメラで撮影された映像から書き出された作品も増えました。映像の中からベストな瞬間、アングルを選んで写真にできるこの手法は、カメラが小型化し、性能が上がったことで可能となり、新しい表現方法としては大きな可能性を秘めていると思います。 ただ、通常のハイビジョン映像では、書き出して写真作品としてプリントするにはまだクオリティが十分ではありません。 動画カメラでしっかりとした写真作品を作るには、4Kで撮る、最初から写真撮影モードで撮る等、最終的に写真にする事を前提とした設定と撮影方法が必要となるでしょう。

内田孝也

JHF会長

 回を重ねて、プロの写真家と評価選定を繰り返し、感じることがあります。それは、目の前の一コマを残したいと切り取った画面と、作品として構想し、ねらった絵の違いです。私の父も新聞の写真屋で、フィルムに写しこむ芸術性を教えられました。デジタルの時代で、いろいろな事ができると思いますが、プロの目から見た時、やはり画質・発色・コントラストなどの基本要素は採点に影響します。良い写真が撮れた!と、意外性や決定的瞬間を自慢にした作品もあったと思いますが、審査員の目の前に置かれた大判写真の総合力で賞が決まりました。賞を逃した中にも唸るような作品があり、応募作はメディアから引き合いがあるたびに紹介されています。


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