今年、2月5日に海岸で飛行された方が墜落し溺死事故が発生しました。
事故原因は調査中となりますが、海岸、水上で飛行される場合には下記内容を考慮したうえで、フライトされるように
お願いします。
注意1:点検及びセットアップ
水上に関わらず、機材のセットアップ、ラインの絡み、ライザーの取り付け位置、トリム位置、ブレークラインの捻じれ、
レスキューのピン、カラビナの消耗・異常、スロットルのレバー及びワイヤーの動きなど、クロスチェック、ダブルチェック
等を行い、日頃の点検を含めて自分の機材は安全に飛行させる道具ですので、しっかりと管理しましょう。
また、ライズアップ後に違和感があれば、離陸しないですぐに中止し原因を探りましょう。
注意2:ライフジャケットについて
今回の事故者はライフジャケットを装着していましたが、溺死となりました。そのため、ライフジャケットを装備して
いるから安全ということはありません。最低限、下記内容を考慮し飛行されるようにしましょう。
1)膨張式ライフジャケットは定期メンテンスを必須としています。メンテナンスしていないとトラブルを引き起こす
(膨張しない、破裂、小さな穴からエアー漏れなど)可能性があります。
2)ライフジャケットは、着水し膨張後、体全体が沈み込み呼吸ができなくなることがあります。その理由はライフ
ジャケットがしっかりと体に固定されていることが重要です。ベルトの緩みはライフジャケット膨張時に体から
離れて単体で浮き上がることを意識し、しっかりと装着をする必要があります。
3)水面上を飛行する時には、必ず燃料を満タンにすることを推奨します。万が一の着水時に燃料タンク内に空気があれば
強い浮力が発生します。燃料が少なく大量の空気が入っていた場合には、顔面は水中に沈みこむ姿勢になりやすいです。
ライフジャケットを装備していても同様です。

安全に飛ぶためには ⇒ 着水しない飛び方を考えること。(過去の事故から学ぶ)
着水しても完璧と思える装備をしていても、着水した時点で死に対するリスクは一気に大きくなります。パラグライダー
のラインが絡みついたりすることもあります。離陸して低空で水上を飛ばないように飛行ルートを考えて飛ぶことは
安全に飛ぶための重要なポイントになります。十分高度を上げて水上に移動し、万が一のエンジントラブルなどが起きた
場合でも自然滑空で陸地に戻れる飛び方を意識しましょう。
日頃のフライト方法を見直すことも大切なポイントです。
(安全性委員会・補助動力委員会)
2019/9/5
9月2日に、モーターパラグライダー飛行中にユニット部分から出火しエンジンが脱落する事故が発生しました。原因は追って調査する予定です。
同様の事故が起きないように、モーターパラグライダーでフライトされる前には、下記のチェックポイントを参考に、今一度、使用されている機材の点検をお願いします。
燃料系のチェックポイント:
・燃料系パイプ等の接続部分で燃料漏れの有無、接続が確実かどうかを確認してください。
・燃料ホースには、ガソリンの使用を想定していて、経年劣化でも硬くなりにくいガソリン使用可能なシリコンチューブなどメーカー指定のものを使用してください。
ホームセンターで売られているピンク色の燃料ホースを使用されているフライヤーがいますが、このホースは灯油などに使用するものであり、
揮発性の高いガソリン用ではありません。
・燃料パイプの接続部分は確実にロックしてください。
・燃料ホースの取り回しを確認し、エンジンに直接触れる部分がないことを確認してください。エンジン付近で燃料が漏れると発火の危険性があります。ガソリンが漏れているところに、電気系のスパークがあると引火の危険性があります。
電気系のチェックポイント:
・電気系を原因とする火災は、バッテリー自体の発火と、電気系のショート等によるスパークにより燃料に引火する場合に分けられます。
・バッテリーの発火の可能性に関しては鉛蓄電池が最も安全であり、次にニッカド、リフェと続きます。安全性の高い2次畜電池の利用を推奨します。リチウムポリマーの場合は、2次蓄電池の中でも最も発火リスクの高いものです。
・電動エンジンスターターを利用している場合、配線被覆の損傷はないかどうか?短絡(ショート)の危険性がないかどうかを確認すること。配線端子部分のコネクター、ハウジング周り、半田付け部分に問題がないか確認してください。
一般に、純正でない部品の使用やユニットの改造は発火に限らずリスク要因となります。興味本位の改造や無用な改造はしないことを強く推奨します。
(安全性委員会・補助動力委員会)
2017/1/25
連続して報告されているMPGユニットの取扱中に発生した重大事故に関して、JHF安全性委員会及び補助動力委員会から『MPG取り扱いについて』と題する文書が発信されました。両委員会では、台の上でのMPGの始動は行わないように薦めています。下記文書をよく読んで頂き、くれぐれもMPGの取り扱いに注意して下さるようお願いいたします。→ 『MPG取り扱いについて』
(安全性委員会、補助動力委員会)
2016/5/23
4月から5月にかけ、琵琶湖上にて連続してモーターの事故が発生しました。4月23日は、スパイラル練習中にそのまま着水したものの浮力体を正しく着用していたために一命を取り留めました。5月7日には、低空飛行中にエンジン停止着水し、ライフジャケットを着用していなかったため水没して命を落としてしまった事故でした。どちらの事故もフライト経験が十分にあるパイロットが、ちょっとした不注意から起こした事故であり、もう少し余裕のある高度を飛び、確実に装備資機材を着用していれば必ずや防げた事故であると思います。これから本格的な夏を迎えフライトの機会も増えると思いますが、パイロット自身が体調管理を十分に行い、確実な装備資機材の着用を行った上で、自己の技量に見合った余裕のあるフライトを楽しんで頂くように、よろしくご指導をお願いいたします。