第11回 世界選手権レポート (Forbes 98)


このレポートは、私たちの仲間であり今回日本チームのチームリーダーをつとめられた、内田孝也さんが毎日現地から送って下さったものです。
日本にいた私たちは、毎日送られてくるレポートのおかげで、NationalTeamの活躍を、リアルタイムに近い形で知る事が出来ました。孝也さんありがとうございました。


[i-team No.182]
ごあいさつ内田孝也です。
このメールは、JHFの関係理事幹事と、メーリングリスト二件に配布いたします。突然ですが、説明します。
第11回のHG世界選手権大会が、オーストラリアで開催されます。日本チームの選手達は、明日16日に成田を発ち現地でのトレーニングに入ります。
競技は、26日の開会式から正式スタートになりますが、チームリーダーとして参加する私が、現地からメールによる公式報告を出したいと準備しています。今回のご案内は、その報告のために配布するメールの宛先各位へのご挨拶とさせていただきます。
正式報告の公表は、JHFのインターネットホームページにて行われる予定になっています。文字化け等を修正して、どなたにも見ていただけるようにするものですが、その作業のために私から提出する原稿が、このメールに続く予定になっております。


[i-team No.184]
FW:pilot profile 内田孝也です。
ゆうべ、下記の申告メールを大会本部に送りました。現地受付までに、各自の写真とプロフィールを報道用に提出するように言われていたのです。ご参考まで。
#Takaya Uchida 98/01/16 23:21
題名:pilot profile

Dear sir.

I'm a team-leader of Japan. I made a list of pilot's profile that you requested for registration. I'll be Headquarters in Forbes on 25th's night around 8-pm as reported before by JHF.
Photos will be hand on that time.
See you there.

Takaya Uchida

Here is the list, based on your pilot list on the web.
Please correct spelling of name if it's pointed.

Japan

Kikuchi, Morio 40
1997 national ranking 7th
23 years HGing career
the national champion of 1993

Ono, Masaki 41
1997 national ranking 8th
the most often coming member to OZ competitions

Tonomura, Yoshikatsu 42
1997 national ranking 4th
20 over years HGing career

Daimon, Koji 43
1997 national ranking 6th
13 years HGing career

Suzki, Hiroshi 44
>miss spelling: Suzuki Hiroshi is true.
1997 national ranking 5th
9 years HGing career
the collegiate champion of 1993

Miyamoto, Isao 45
1997 national ranking 2nd
14 years HGing career

Minegishi, Mashahiro 46
>miss spelling: Minegishi Masahiro is true.
1997 national ranking 3rd
19 years HGing career
the national champion of 1988
the national champion of 1989
the national champion of 1996

Fuhita, Naomi 47
>miss spelling: Fujita Naomi is true.
1997 national ranking 1st
22 years HGing career
the national champion of 1995

Uchida Takaya (40 years old) team-leader
21 years HGing career Japan team pilot of 1985 world champ.
Japan team leader of 1991
Japan team leader of 1993
Japan team leader of 1995

end of list
bye now.


1月25日 1月26日 1月27日 1月28日 1月29日 1月30日 1月31日
2月1日 2月2日 2月3日 2月4日 2月5日 2月6日 2月7日
2月8日 2月9日 2月10日
2月23日


[i-team No.196] Forbes98 世界選について
今回の世界大会は、第11回になります。
フラットランドでのトーイングによる競技ということで、人数制限がゆるく各国8名の選手のエントリーが許されました。過去にない大人数です。しかし、始まってみるとロシア、メキシコ、韓国などの常連国が参加しておらず総勢148名27ヶ国にとどまっています。
リジットハングとして、スイフトに加えエクスタシーなどの新鋭機が加わって、にぎわいを期待したクラス2も、オーガナイザーによると12月の締め切り時でエントリー数が1ということで開催が見送られてしまいました。
大きな理由は、トーイングにかかる費用の問題ではないかと思います。日本チームも、藤田、宮本、峰岸、外村、鈴木、大門、菊池、大野とフルエントリーですが、スタッフに内田、高橋、中村、佐々木の4名がつき、実際にはさらに江本、中神のボランティアと取材を兼ねた板垣、松田というサポートがついています。
タグまたはトライクによるエアロトーをする国と、ウィンチかフィックスラインでカートーをする国が半々ですが、お金を払ってタグに引いてもらうと$50毎日かかるようです。ウィンチであげるにも、車のドライバーとウィンチマンの2名がべったりついて、最後のパイロットが無事にサーマルにのるまで、休みなしに働いています。
先頭のゴールサポート車と、後方の回収車は別のスタッフで走らさないといけなくなりますが、トーイングで走り出すときの選手のグライダーの脇にも1〜2名ついている必要があります。
1レーンで8名の選手全員をあげる国は日本だけで、よそは2組のトーイングスタッフでいっきにあげています。
ちょっと準備の見通しが甘かったかなあと反省しています。今までの世界選手権では、チームリーダーのほかに1名回収スタッフをおいて、走りまわって済ませていたものが、ここでは8名という選手の多さとダブルパンチで人手不足を感じています。
成績の計算システムですが、GAPシステムというFAIで考案された新しい計算式が採用されています。最近のヨーロッパの大会やここオーストラリアの昨年末からの大会では、皆このシステムで運用されています。
日本で使っている古い計算式と同じく、スピードポイントとディスタンスポイントがつきますが、距離数に対して正比例の得点ではなく、降りてしまった選手の多い少ないでゴールまでの残り距離に対する点数配分が変わります。
それと、スタートゲートを早くとってゴールしたもの、およびゴールに早くついた順にそれぞれボーナスポイントがつくようになっていて、単に早いだけでは1000点は取れないようになっています。
その日のバリューが1になっても、トップの選手の得点が800点台だったりするのはこのせいです。
あと、GAPシステムでは、大会前に開催エリアの特性に合わせて、平均的なタスクのモデルのようなものをパラメーターとしてセットして、得点計算のためのそのフライトのバリューを算出しているようです。いま、インターネット上では、デビットストラブというアメリカ人と、大会本部側がお互いによく思っていないような情報がいきかっています。一部の選手や、チームリーダーも大会運営を批判的に見ているような論調ですが、初めのタスクに不満は出たものの、すこぶるうまく運んでいることを申し添えます。
みんな(役員も)疲れていますが、大いに楽しんで世界チャンピオン獲得に挑戦しています。
思っていたより遅くなり、まとめも書きたいことの半分までですが、この辺で一度解説としてお送りします。
では、また。

Japanチームリーダ 内田孝也

[i-team No.186] 世界選レポート#1
皆さん今日は。
Forbes 98 (第11回HG世界選手権大会)のチームリーダー、内田孝也です。
日本チームの様子を、これからレポートしていきますのでよろしくお願いします。

1月25日 pm3:45
朝早く、シドニーについて、選手に電話した後夕方のローカル線のフライトまで、市内観光と買い物で時間をつぶす。
結構本格的に降っていた雨が、数時間でうそのように晴れあがった。
今、食事のためにレストランに入ったが、つい先程サマータイムで現地時間を一時間間違えていたことに気付いた。あぶなく、ローカル線のフライトに遅刻するところだった。
===========ここまで===
このように、日付と記入している時間を先頭に入れることにします。車の中でなど、あいた時間に思いついたままお話ししていきます。

さて、1月26日 pm4:04
いまは、セレモニーの行進のために、おそろいのユニフォームに身をつつみ町のはじに集合しています。今日は、オーストラリアデーという祝日で、町をあげての大パレードになります。パレードの先頭で、トーイングの台車にグライダーをセットしておひろめする役を日本が引き受けました。ぶら下げられて、さらし者になるのは、「サル」こと中神君です。
冒頭の、ローカルフライトはお客が8人でいっぱいの双発機で、雲底高度を1時間半ほど飛んでフォブスに無事着きました。おかげで選手の戦う視界を自分の目で確認できました。まさにフラットランドです。昨日、今日と風が強いです。
今朝10時から3時間ほど行われた、チームリーダーブリーフィングで、いろいろはっきりしてきました。事前に(日本で)受け取っていたローカルルールと大きく変更はありませんが、途中でのカットはなく、スコアは新しいGAPシステムというので計算されます。
1月26日 pm6:15
パレードは無事終わりセレモニー会場でくつろいでいます。参加選手数は147名。いくつかエントリーができていない国があると言っていました。
あとで、名簿が配られたら確認します。明日の朝9時から選手ブリーフィングがもたれ、いよいよ世界選手権がスタートします。この辺で、第一報をお送りします。
では、また。

[i-team No.187] 世界選レポート#2
1月27日 pm1:25
さきほど、ウィンドウオープンが宣言された。
朝から、せわしないブリーフィングで情報をとり、いよいよ世界選のスタートだ。
今日のタスクは、弱い風の中、北へ20キロのスタ−トゲートをとり更に147キロ北上する。
パドックのレーンの割当ては、機材の関係で日本だけ1レーンで8名も飛ばさないといけなくなっている、モイスのビルおじさんに助けてもらえるように、明日から配置を変えてもらうようにお願いしている。
広いトーイングフィールドに選手が散らばってしまって、今オープンしているのに誰もでないことの背景がよくわからない。本部役員車もはるかかなただ。
選手から、今日は2時ころ動き出すかなあという声が聞こえてきた。そろそろ、準備にかかろう。
1月27日 pm10:05
長い一日です。回収終わって、近くの一番大きな町に寄って、夕ご飯中です。残念ながら、日本チームは誰もゴールできませんでした。
この中華料理屋に先ほどスイスチームもやってきました。彼らは4名ゴールさせたそうです。
オーストラリアチーム、ドイツチームなどもたくさんゴールしているそうで3〜40人にも決められてしまったようです。
前回のスペインでの初日に全員ゴールを決めたのと対照的で、ちょっとさびしい。それと、残念なことに、パドック上空で接触事故があったようです。
私はすでにゴ−ルに向かっていましたが、日本チームでも大勢目撃しました。

1月28日 am2:42
料理がきたので、中断しました。
12時半過ぎに大会本部で申告を済ませました。
実は、1時半からレポートを追加していたのですが、さっき消えてしまいました。
主にその後の行動と、事故について述べてました。
たくさんありましたが、もう明日の競技に差し支えるので、あきらめます。皆さんはあきらめきれないでしょうから、またかいつまんでお話しますね。
では、また。
[i-team No.188] 世界選レポート#3
1月28日 am10:25
朝のブリーフィングが終わりました。
仮発表では、日本は国別11位でスタートです。
夕べデータの消えてしまった事故の話ですが、パドック上空でセンタリングしていたガグルの中でおきたようです。ベルギーの選手とどこかの選手の事故らしく、空中で壊れたほうのグライダーのパイロットは何とかレスキューを開けたそうですが、壊れなかったほうのパイロットは上空で傷ついたらしく、ノーコントロールでタンブリングとスパイラルを繰り返して、地面に激突してしまったそうです。
では、また。
[i-team No.189] 世界選レポート#4
1月28日 pm12:36
パドックで準備中である。昨日のチーム行動の反省の総括として、チームリーダーが先頭選手とともにゴールへ向かってしまわなければ、避けられたと思われる点があり、本日からはパドックに最後までいることになった。
今日は西風がかなり強い。
1時にはタスクを決めたいはずだが、まだタスクシートも配られていない。タスクは、3通りを書面で配布しておき、パドックで最終的に選んだタスクを(旗をあげて)アナウンスする方式になっている。
もうみんな組み終わった。
1月28日 pm7:42
キャンセルするかどうか、微妙な強さの風の中、東方向へターンポイントで蛇行しながらの154キロタスクにのぞんだ。
おっと、未回収のメンバーからの連絡だ。また後でお話しします。

1月29日 am8:11
ゴールはたったの3名。
初日に続き、ウクライナのオレグ選手がゴールを決めている。この人は、テブノさんのところに長くいた人だそうで、最近のオーストラリアの大会でずっと調子がいい。
1月29日 am11:22
鈴木博司が、2本の総合で14位だ!少し時間を作って、成績表や状況など、詳しいレポートを作ります。
ちょっとお待ちください。
では、また。

[i-team No.190] 世界選レポート#5
1月30日 am0:05
今日は、報告をまとめるような時間は取れませんでした。
3本目もノーゴールです。
でも、日本チームだけでなく、一人もゴールできませんでした。ヘッドウィンドで90キロも進むなんて、時間がかかりすぎ日没をむかえました。ルーマーがゴールのすぐ近くまで迫ったようです。
日本チームでは藤田選手が一番飛びました。みんな毎日4〜6時間飛んでいます。もう、寝ます。おやすみなさい。
では、また。

[i-team No.191] 世界選レポート#6
1月31日 am1:50
3本目のタスクは、誰もゴールできない条件だったうえ、コース上にエアポートがあって低空で通過したものがいる(らしい)にもかかわらず、その辺一帯に降りた選手が多く、そのうち禁止区域(半径8キロ)内にランディングしたもののみがペナルティーを課せられたため、今朝(30日)のチームリーダーブリーフィングはけんけんがくがくになった。
オーガナイザーも、タスクが悪かったと率直に認めていたが、距離が長すぎてタイムレースの要素が足りないという日本チームの印象と少し違う方向に議論は進んだ。
今日も、西よりの風の基調は変わらず、昨日の批判に十分考慮しつつ北北西に約150キロのタスクになった。
日本選手のあいだでは、ぜんぜん批判に耳を傾けていないという指摘も多かったが・・・。
昨日ウィンドオープンにテイクオフスタートを仕掛けた日本チームも、今日はよそに先を越された。絹雲におおわれた空にあまり期待できなかったのだ。
結果としては、ゴールまであと十数キロまで迫りながら、鈴木、藤田、宮本選手が次々降りてしまった。全体でも、ゴールできたのはこの3選手といっしょかわずか前にいた6人だけであった。トーマスや、ルーマー、オレグなどきれいどころばかりだった。
1月31日 am8:11
また、まとめを作る時間がありませんでした。
あまり、期待しないで待っててください。
そうそう、今日土曜日の新聞には、一面に宮本さんちの赤ちゃんの写真が大きく乗る予定です。
では、また。

[i-team No.192] 世界選レポート#7
2月1日 am10:07
昨日は、サンダーストームを警戒してショート(といっても90キロ)タスクとなった。パドックから南に50キロいって戻ってくるアウトアンドリターンである。日本チームも全員ゴールについた。さきほど見た成績表では、146名中111人ゴールした。日本チームでは、宮本さんが一番早いはずだったが、あろうことかゴールライン手前2mに降りてしまった。
一昨日のタスクでは、菊池さんがターンポイントのセクターアウトでペナルティーをくっており、初日の峰岸選手のゼッケン忘れと合わせていい教訓になっている。
もう、日本チームで写真ミスはないと思うが、よその国ではゴールの時計をとり忘れて宮本さんと同じ距離のみの得点になっている選手が大勢いた。菊池さんのセクターアウトと同じで、何人かまとまってやらかしている。
ともかく夕べは早くに終了して、久しぶりにまともにレストランで食事をし、ゆっくり休養できた。
では、また。

[i-team No.193] 世界選レポート#8
2月2日 am10:11 昨日は、けっこうな南の強風(予報では西)にのって、北東に150キロほどのゴールへ大勢がなだれ込んだ。日本チームも全員ゴール!
成績表を見てもらうと(オフィシャルのホームページ見てね)菊池さんがぶっとんだ点数になっていると思いますが、スタートゲートを間違えてしまって、大損をしました。
今日は、レストデーかと思っていましたが、飛べる限り13本連続でもレースすることが、確認されました。
今日も、いくぞっ!では、また。

[i-team No.194] 世界選レポート#9
2月2日 pm12:36 昨日は、実はトーウィンチにトラブルがあり3人の選手が危うくパドックにとり残されるところだった。
トーディレクションに途中変更があったため、トーパドックを対角線に大移動しなければならなかったのだが、グライダーを組んだまま運んでいた大門さんの機体が、車の上であおられて破損してしまった。
その際にも、ウィンチの一部が壊れたが、加えてモーターの配線が途中で断線してしまった。器材のトラブルの恐さを思い知った。
オーガナイザーにお願いをして、日本チームにもう1レーン状況に応じて自由に使えるトーレーンを確保させてもらった。これまでにも、ウィンチのトラブルのときには、ビルモイスの予備用のトーカーを貸してもらっているので、緊迫する日には2レーンでいっきに選手をあげる段取りとしたい。
8名を順にあげると、2時間かかってしまう。つらい。
2月2日 pm9:12
しんどい一日が終わった。Forbes で一番おいしいという中華で食事を頼んだところだ。
パドックで、上の記事を書いて、タスク設定で遅れたウィンドオープンにあわせて、最初の選手をあげた途端、ウィンチが燃えてしまった。ビルさんに借りたトーカーのほうだ。自前のトラックのほうは、分解して修理に出していて使えない。レーンの端でトートラックを待っていた上位につけている選手たちに冷たい沈黙が流れた。
正直に言って、どうにもリカバーの方法が考えつかなかった。オーストラリアに慣れている外村、大野の主導で手巻きでロープを巻きあげて、当座の数名をあげる準備をし、ビルさんにアエロトーが空き次第日本チームも引っ張ってもらえるよう、頼みに走る。
快く受けてもらえたが、300mくらいグライダーを運ばないといけない。
2月2日 pm11:09 今日のゴールは10人、日本チームで一番ゴールに近いのは菊池さんで10キロほど手前。藤田選手と二人は、まだモーテルに戻ってきていない。結局、手巻きのロープで4名、慣れないながらアエロトーでなんとか4名をあげてもらった。2時5分のウィンドオープンから、最後の選手の上空リリースの3時30分まで、地上スタッフが思わず自我自賛するほど連係プレイがうまくいけた。
文字通り走りまわったみんなに最上級の感謝を述べたい。
ハードな日だった。
では、また。

[i-team No.195] 世界選レポート#10
2月4日 am10:36
昨日のタスクは、214キロ北にゴールだった。
過去7本のタスクをこなして、すっかり走りなれた北方の町を更に70キロ北上した。ここ数日の追い風タスクと違って、時間がかかると思ったが、よく発達した積雲の雲底が4000mにも達し、いっきにゴールへ突っ込んだ。
今日のブリーフィングで、オーストラリアの航空法で、ハングの上限は10000フィートまでなので、メディアに高度の数値は言わないほうが良いとアドバイスされたが。
「53キロ手前、高度4100このままゴールに突っ込む」という無線からの声を聞くのは、私でも興奮を覚えた。
結果は、87名のゴール。日本チームは6人がゴールを決めた。前日のトラブルを克服し、複数の手段を駆使して、選手全員をパドック上空にあげるのに1時間かからなかったことを特筆したい。
大会始まってはじめて、日本チームが一団となってフライトし、4機5機がお互いに助けながらゴールした。
では、また。
[i-team No.197] 世界選レポート#11
2月5日 am9:40
昨日9本目のタスクは、南にヘッドウィンドでくだった後、ドッグレッグして北西に向かうコースだったが、南端の2つめのパイロンにたどりついた選手は一人もいなかった。はじめ良さそうに見えた天気も、急激に層雲に覆われてしまい渋いサーマルで粘りつづけた。
こういう日の日本チームは強い、藤田選手が8位に食い込んだ。
タスクミスではないかと思っていたが、今朝のブリーフィングで北と東方面にはサンダーストームができたので、南方向でしかタスクが組めないという判断は正しかったと説明された。うーん。
もっと大きな問題は、トーディレクションだった。
北風予報で、南から北へ出ていくセッティングにしたが、ウィンドオープンのころから南西風に変わり、フィックスラインのカートーでは、とても出られない条件となった。
われわれはAパドックだが、Bパドックはもっと悪い条件だったらしい。いったんウィンドウクローズして、東から西へ出るようにレーンを変えて再オープンした。
この影響で(ルールでもう一方のパドックも閉じる)最後の菊池さんを、揚げそこねてしまった。フォローに苦しみながら、クローズ直前まで何度もトライしたが、足留めされてしまった。
再オープンは、まだ十分いけそうな3時半だったが、条件が渋いので菊池さんは休息をとるほうを選んだ。オフィシャルからは、何機か残ってしまっていたうち、日本チームに名指しで、レーンの方向を変えてもよいと申し出をもらえた。残念ながら断ったが、アエロトーの残りは向きを変えて出ていった。
さあ、今日はどんな展開になるか。
最終日まであと4本だけだ。
では、また。
[i-team No.198] 世界選レポート#12
2月5日 pm12:28
パドックにいて、つい先程タスクシートを手渡された。
北西風がずいぶん強い。
気象情報にも、上空2000mで45キロふいているとある。ほんとにやるんだろうか。グライダーを立てただけの国もあるし、日本チームは黙々と組んでいる。
峰岸選手からは「やだあ」の声もあがった。
今日もまた、1時のウィンドウオープンはずれ込みそうだ。
2月5日 pm9:12
日本チームは、4人ゴールした。最後に出ていった菊池さんが20キロ手前にまで迫った。いまは、帰りがけの町で、イタリアンレストランに入って料理の出てくるのを待っているところ。
タスクは、南東の100キロ少しの町までのストレートゴール。全体では、80を超えるゴールが出たとゴール回収車から報告があった。

2月6日 am2:18
風は、強い西だった。菊池さんが降りたころ、前線のような雲が覆いかぶさり、南の強烈なヘッドウィンドになり、けっこう他選手もゴール直前に降りていた。
菊池さんの回収に手間取り、ヘッドクウォーターに着いたら最後の二人だといわれてしまった。日本チーム内でも、宮本選手がはやくに降りてしまうなど、優劣の大きい日だった。
では、また。
[i-team No.199] 世界選レポート#13
2月6日 pm9:09
夕べ、雨が降ってもう今日はできないかと思っていた。
朝から、どん曇りで、どうなるのかと思った。
日本チームのゴールは4名、ブラジルが3人だと聞いて喜んだ。国別で追っているのだ。ブラジルチームには、日本は8名チームだがブラジルは6名で50%ずつだから同じだと言われたようだ。でも、国別成績は上位4人で決まるのだ。ちょっとは、差を縮めたはずだぞ。
晩飯のステーキが出てきたので中断。
2月6日 pm10:33
サーマルは活発なものの、湿気が多くて全面雲に覆われてしまうという予報のもと、110キロの三角パイロンが設定された。昨日までの、ストレートゴールに比べると、つい近場に感じるが距離は十分にある。
終盤戦にきて、突撃モードになっている大野、宮本選手が突っ込む。調子の良い鈴木、藤田選手の露払いだ。
途中何度も高度を失いながら、大門さんが良いタイムでゴールし、藤田、外村、鈴木がかたまってゴールを決めた。
あと二本だ。このまま国別10位では、みんな元気が出ない。頑張ろう。
では、また。

[i-team No.200] 世界選レポート#14
2月8日 am2:25
7日12本目は、そのフライトよりも、絶妙に重なりあった出来事によって語り草になるだろう。
先ほど1時半にすべて終わらせてモーテルに戻れたが、精神的にも消耗するハードな一日だった。
私にとっては、夜になっても宮本選手と連絡が取れないことが一番おもかったし、先頭回収車がタイヤ2本も連続してパンクしたために、回収前で地上にいてガストフロントにもろに巻き込まれて、文字どおり生きた心地でなかった選手も一生忘れられない経験をした。
大自然の猛威は、ここでいくら文字を足しても伝えきれるものでなく、ひたすら「すごかった」とご報告しておく。まるで映画のシーンの中に投げ込まれたような、爆風に直面した。
日本に戻ったら、選手の口から直接聞いて欲しい。付けたしのようになるが、タスクは南西方向219キロ、北風のかなりきついコンディションだった。エアポートをさけるためのターンポイントが2つあり、ゴールは一人も出ず日本チームにはチャンスだった。
もっとも、夜中に帰ってきてみたら、ごちゃっと固まってピンが刺してあり、成績浮上の目はなかったが。

2月8日 am10:07
世界選手権は、昨日で終わってしまいました。今日は、昨日の大雨はあがったものの、朝から低い雲におおわれ強風が吹き荒れている。
日本は、スペインでの大会に続き国別10位で終わってしまいました。みんなで、最後押しあげようとした鈴木、藤田選手も、20位台に入れずじまいでした。
いま、大会始まって初めての、のんびりした時間の中でみんなで成績表を見て振り返っています。
そうそう、鈴木選手は今朝午前2時過ぎ、おとうさんになりました。おめでとう。
まだ、閉会式などありますので、報告を続けますね。
では、また。
[i-team No.201] 世界選レポート#15
2月8日 pm7:09
プレゼンテーションを、予定より繰り上げようかという話が役員から出たが、一日無駄な日をすごしても予定どおりいこうと、チームリーダーみんなで決めた。
12時に招集されたミーティングで、どうしても先に帰る人が申告されていく、日本チームは全員残るというと、とても喜ばれた。明日9日の夜7時からだ。
その場で選手全員集まっての記念撮影をしたが、優勝のギドはいたが、2位のオレグ、3位のルーマーは遅刻した。一説によると、朝まで飲んでたらしい。
選手は、以前から知っていたようだけど、私は大会が終わって初めてギド君が誰かわかった。今日8日に誕生日で23歳になったドイツの選手で、話をする機会に恵まれたがとても素直な気持ちの良い若者だ。
昨日まで、パドックでバラバラだった分、今日の、ミーティング後の選手同士の交流はそこここで活発だった。今晩から、明日のセレモニーまでフォブスの町のパブがにぎわうだろう。
ところで、世界選手権に集まった各国の有名パイロットを集めて、テレビ番組向けの大会を撮影する話が進んでいた。世界選初期に日本にも参加を求められたが、予定を変更して残れるものがいないので、断っていた。
ここへきて、番組制作会社から、できあがったソフトをオーストラリアで公開した後、海外へも売り込むために、どうしても日本にも人を出して欲しいと強く要請がきた。
ドイツ、オーストリアなど主要国はすでに決まっているという。今回は調子のあがらなかった峰岸が、豊富な経験をいかし対応してくれる事になった。
良い番組ができて、日本でも見られる事を期待したい。
2月8日 pm9:58
フォブスで一番おいしい中華で夕食をとっていたら、ドイツチームがギドの優勝と誕生日のパーティーをしにやってきた。レストラン中から、大拍手が沸き起こったら、ギドは真っ赤になってしまった。
モーテルでは、過去12本の一つ一つの展開の復習をしている。毎日が忙しくて、ちゃんと記録できていないのだ。日本に帰って、ハング関連雑誌に新鮮な報告記事が出ると思うのでお楽しみに。
では、また。

[i-team No.202] 世界選レポート#16
2月9日 pm11:31
これが、オーストラリアから送る最後のメールになりそうです。パーティーは続いていますが、一足先にモーテルに帰ってきました。
プライズギビングは、いつものことですが、表彰されて喜びを全身にあらわす選手を見ていて、とてもうらやましくなるものです。
3位のイタリア、2位ドイツ、優勝オーストリアが、まず表彰されました。続いて個人10位から、順に前へ出て、上位三人に陶器でできた、カップ型のトロフィーが授与されました。ギドがスピーチです。
12日にもわたった長い競技の中盤で、ルーマーがじわじわと迫りあがってくるのを見ていた心境を、素直に話し握手をしていました。テブノさんのところに世話になっていて、そのおかげだと言って、感謝をしていました。
そうそう、メダルの授与は、今回4位に甘んじたトーマスから首にかけてもらっていました。
トーマスは、上位の記念撮影のとき、最後になってトロフィーを掲げて、と言うカメラマンの要請に、からっぽの左手をかざして、列から離れていきました。
2位のオレグさんは、今までどおり静かにじっくりと喜びを噛みしめているようでした。
オレグさんはウクライナの人ですが、やはり長くテブノさんのところに世話になっていたそうですので、ギドとも仲が良いのでしょう。あとから、ビールのかけ合いをしていました。
スペインの大会の終了速報で、ヨーロッパの台頭が本物のようだと書きましたが、今や完全に流れに乗っています。オーストリアのルーマーが周辺の国の選手や競技会に、明らかにプラスの影響を与えています。
詳細は、また後日に譲ることとして、現地レポートを終了します。今日のセレモニーは午後7時からの予定だったのに、内容を変更したのか、8時過ぎからまず食事をさせてもらって、9時過ぎから表彰の運びとなりました。オーガナイザーの大会の締めくくりのプレゼンテーションの中で、記録ビデオのさわりを見せてもらいましたが、なかなかかっこう良い出来でした。完成したら買いたいな。
それと、そのプレゼンテーションの中で大勢の前で鈴木パパに女の子が生まれたことが発表され、集まった全員に祝福されました。おめでとう。
パーティーは朝まで続くのでしょう。
わたしは朝6時のフライトで帰途につきますが、これから荷作りです。終わったら、パーティーに戻ろうかな。では、また。

[i-team No.204] 世界選レポート終了
内田です。無事に自宅に戻ってきました。いろいろ、ありがとうございました。

帰路の飛行機内で、レポートを1番から順次見直してみました。なんだか、自分だけわかっているようなレポートで、背景というかその日のもっと細かい状況がわからないと、何を述べているのかわかりませんでしたね。
ごめんなさい。

早速、JHFレポートに報告(速報)を書くことになっています。全体を総括したまとめをしますので、それでとりあえず勘弁してください。
では、また。


[i-team No.208] 世界チャンピオン
2/23 内田です。
大変です。世界チャンプが来日しています。
ギド君23歳。先週テブノといっしょじゃなかったから もう、来ないものと思っていました。
会ってみたい人、話してみたい人声を出してください。
東京に寄る時間を作ってもらえるかも知れません。
荒井裕悟さんの所が受け入れだそうです。
では、また。


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