滝知山事故調査報告書
2003年03月03日公表
項  目 パラグライダー飛行中の墜落事故
日  付 2003年1月25日
場  所 静岡県田方郡函南町滝知山
1.事故の概要

カリプトエアー型ベクティスMサイズ(パラグライダー、単座)は、2003年1月25日(土曜日)午後12時15分頃、レジャー飛行のため静岡県田方郡函南町滝知山から離陸し、2時間22分ほど飛行した。
 午後14時42分頃テイクオフ前方100m程の地点で片翼が潰れ(左右どちらかは不明)、回復と同時に左翼が先行する形で右前方への激しい斜めシューティングが起こりキャノピーがパイロットの下側に回りこむ状態となる。そこにパイロットが落下し左翼(テイクオフから見て)に接触、包まれる。その後キャノピーと身体は分離したがパイロットはラインに絡まりパイロットが下で上方向にキャノピーがなびくような形で約60m−70m落下。時間にして2〜3秒で潅木の茂るテイクオフ前の斜面に激突した。
 パイロットはレスキューパラシュートのグリップを握っていたが高度、時間共に余裕がなく開傘に至らなかった。
 救急隊のヘリコプターにより病院に収容されたが、骨盤骨折、肺破裂などにより死亡した。

2. 飛行の経過

 テイクオフ後は同時間帯に飛行していた他機同様、通常の飛行空域内において飛行をしていたものと思われる。特別に高度獲得、及び広範囲に飛行している証言は無い。
 事故時もテイクオフ前方100mテイクオフからの高度30−50m付近を西風に正対あるいは偏流飛行をしていたと判断される。また何時でもトップラン出来る状況のなかでの飛行であったと判断される。

3 原 因

 事故者はこの日のフライトまで、半年ほどのブランクがあった。パラグライダーを始めた当時は、頻繁にフライトに出かけたがここ数年は、フライトする頻度が減っていたようである。
 試乗機なので、その機体の特性を把握しきれていなかった。
 長時間のフライトに慣れていなかった。
 潰れや失速の回避動作や回復操作の技術が未熟であったと考えられる。


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